製作データ 2006年/日本/47.00min
監督 神戸金史(KANBE Kanebumi)
出演 かねやん
スタッフ 企画:柴田徹郎、神戸金史
ディレクター:神戸金史
撮影:岡友和、柴田徹郎
編集:川路幹夫、田中秀和
美術:平山仁是、瀬戸口祐佳
プロデューサー:貞刈昭仁
九州に暮らす人が九州に暮らす人々を撮った、地域と生活に根差したドキュメンタリーを紹介する企画です。
今回は、いずれも九州を拠点に優れた作品を全国に送り出し続けてきた、RKB毎日放送・神戸金史ディレクターの代表作『うちの子』と、NHK福岡放送局・吉崎健ディレクターの代表作『水俣病 魂の声を聞く ~公式確認から60年~』を上映し、両ディレクターのお話を伺います。

あらすじ

放送記者の私の長男かねやん(6歳)は、自閉症という障害を持っている。自閉症は、先天的な脳の機能障害で、新生児100人に1人以上生まれてくる。自閉症は外見では障害の存在が分かりにくいため、「しつけがなっていない」という社会の目に将来を悲観し、無理心中する母親もいる。この悲しい事実は、あまり知られていない。記者として無理心中の現場を探し出し、残され苦しむ遺族の話を聞いて歩いた。

また、時に芸術的な才能を見せる軽度の自閉症の青年が、世間の荒波にもまれ失業しながらも、再就職を果たしていくさまや、重度の自閉症を持っている息子と懸命に生きる母親の心情を取材した。障害にさえぎられ、親ともうまく意思疎通できないけれども、母親の大きな包容力によって、子供はゆっくりと、しかし確かに成長していく。かねやんは、妻が手作りした絵カードを使うことで、コミュニケーションする能力と喜びを獲得していく。

「ゆっくりと歩めばいい、親も子も」というナレーションに、制作当時の思いがこもっている。「JNNネットワーク協議会賞」でネットワーク大賞を受賞した作品。

監督コメント

2005年に転職して初めて作った番組が「うちの子」。今回の上映にとても感謝しています。取材対象は、私の妻子をはじめとする3組の母子。言わば、障害児を育てる母親たちの物語です。2016年、相模原で障害者殺傷事件が起きた1か月後、RKBからの社会へのメッセージとして再び放送されました。

2020年に作った「イントレランスの時代」は、障害児の父である私が殺傷事件を取材する、言わば父親の物語。「うちの子」15年後の続編です。

上映履歴

2005.11RKB毎日放送で初回OA
2005.12リメーク放送(受賞作品)
2006.04受賞記念リメーク放送
2008.05「吉岡忍と見る RKBテレビ50選」で放送
2016.08やまゆり園事件を受け、RKBで緊急放送
2016.10BS-TBS「サタデードキュメント」で放送
2017.07CS-TBSニュースバードで放送
2020.11web「RKBオンライン」でネット公開 ※2021年1月まで

監督プロフィール

1967年群馬県生まれ。1991年毎日新聞入社。2005年RKB毎日放送入社、2020年より報道局担当局長。

制作番組に「攻防 蜂の巣城」(放送文化基金賞など入選)「うちの子」(JNNネットワーク大賞)「シャッター 報道カメラマン 空白の10年」(「地方の時代」映像祭2013入選)「SCRATCH 差別と平成」(ラジオ、放送文化基金賞最優秀賞、早稲田ジャーナリズム大賞入選など)「イントレランスの時代」(JNNネットワーク大賞など)。