製作データ 2021年/日本/33.18min
監督 野辺 ハヤト
出演
スタッフ 編集:野辺智子

あらすじ

“Parallax ”(パララックス・視差)
「二地点での観測地点の位置の違いにより、対象点が見える方向が異なること」(ウィキペディアより)

それは右目と左目のあいだに、人と人のあいだに存在する。
同じ現実がそこには存在していても、それぞれの背景によって異なる景色が広がる。
その景色はお互いが干渉し合わない限り、ずっと平行線をたどってしまう。
右目と左目の視差の現象のように、片方の視点では立体感や距離感が損なわれてしまうように
現実の人と人、社会と人の間にも歪んだ価値観が存在してしまう。
その価値観はときに大きな流れとなり形成されることによって、例えば無謬主義のもと、曖昧模糊な状況を生み出しては、本質をものみ込んでいくのではないだろうか。
理解し得ないことを、理解するといった言葉では消化しきれない現状で、
視差の存在そのものに目を向けて掘り下げていく、
または自分の無意識下で同化させていくことが唯一の方法なのかもしれない。
隣人との視差に気づき、遠い人との視差に気づき、昨日と今日の自分の視差に気づき
少しずつ、その何かを受け入れたい。

予告編

監督プロフィール

アートディレクターとしてデザイン事務所勤務の後フリーランス。2007年よりアニメーション作品等を制作し始める。
音楽も作品の重要な要素のひとつとし、アニメーション制作と同時に制作を進め、作曲・演奏・録音まで自身で手がける。

監督コメント

常に湧き上がる社会問題と情報の中では立場によってものの見え方は違います。「Parallax」は視差と言う意味ですが、理解し得ないそれを理解すると言うことの不確実性が世の中の歪みを生み出していると考え、まずは視差そのものという確実なものに向き合い、自分なりの表現として伝えたいと考えました。

受賞歴

・ザグレブ国際アニメーション映画祭2022 ワールドパノラマ招待上映(ザグレブ・クロアチア)
・イメージフォーラム・フィスティバル2021 ノミネート
・ぴあフィルムフィスティバル2021 ノミネート
・第21回ニッポン・コネクション 日本映画祭 招待上映(フランクフルト・ドイツ)