荒井五郎と荒井千鶴はいわゆる倦怠期が訪れ始めた夫婦で子供もいない。お互い相手のことを決して嫌っているわけではないのだが、新婚時代のようなときめきもまた薄れてしまっていた。
しかし、この夫婦にはそれぞれ言い出せない秘密があった。妻の千鶴は夫の五郎の願いもあり、結婚して以来専業主婦をしているのだが、自分自身も働くのが好きなわけではないため、五郎の収入だけでなんとかやりくりする毎日を過ごしてきた。ところがいつしか苦しいときについつい借金をするようになり、今では返しきれない状態に追い込まれてしまっていた。さらには金の工面をしてもらおうと期待していた父親までもが病気だということが発覚してしまう。
一方、五郎は突然訪れた一人で暮らす母親の退職について頭を悩ましていた。年金だけでやっていけるのか?将来一緒に住んでやるべきなのか?何より妻の千鶴は承諾してっくれるのか?そんなことを心の隅でずっと考えていた。普段はまじめに働き、金の工面もなんとかしよと懸命に生きる五郎ではあるが、日々溜まるストレスを発散させるために風俗に通っているということも妻への秘密であった。
そして物語は千鶴の父や出戻りの妹、そして五郎のやすらぎの相手である風俗嬢が職業を隠してつきあっている恋人や娘も絡み合い、嘲笑うかのような大きな空の下で小さな幸せを映し出していく。
監督のコメント
この作品は久しぶりの長編となります。また私の作品の中では出演者も最多です。
かねてより群像劇をやってみたいという欲望があり、今回多くの役者にも恵まれ実現させることができました。
監督の経歴
大阪写真専門学校(現ビジュアルアーツ)放送映画学科卒業。
大阪でサラリーマンをしながらコツコツと自主映画を製作している。
これまでは製作した作品はWeb上で公開することを基本としていたが、最近は劇場での公開を行い始めている。
主な監督作品
「何も始まらなかった今日に・・・」(2012年)
「ひと時の魔法をあなたに」(2011年)
「逢魔時の片隅で」(2010年)
スタッフ一覧
監督・脚本・撮影・編集/奥本 元
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【Cast】 |
奥本 元監督の作品一覧
作品名 | 監督名 | 上映時間 | 制作年 | 字幕 | |
嘲笑の空 | 奥本 元 | 73min | 2012 |