とある病院の一室。カメラに映し出される男。その男の後方
には縛られた男女の姿がある。室内TVからニュースが流れでる。「ただいま東条総合病院の占拠事件をお送りしています…」
TVに映し出されているのは、この病院の一室である。男は病院をジャックしているのだ。巻き込まれた男女の被害者8人、
内1人は負傷し、血を流し倒れている。男は涼やかに視聴者へ向かって話しかけていた。この男は第一の要求としてTV局にカメラを持ち込ませ、放映するように命じたのだ。男は警察、視聴者を相手どり社会への不満を吐き出していく。恐怖に声すらままならない人質達であったが、男からの質問や会話への返答で、男の家族、仕事、異性、友人関係など身の上話が交わされるようになる。除々に明らかになっていく男の人物像。なぜこんな事件を起こしてしまったのか。なぜ起こさねばならなかったのか。「もしかしたら自分もひとつ間違ったらそうなっていたかもしれない」
監督のコメント
子供の頃、報道の人だかりを抜けて、包丁を持ったおじさんが人を殺す映像を見ました。映画に関わり始めた頃、バスジャックをした若者がいました。数年前、秋葉原に車で突っ込んだ、悲しい人がいました。
全て、カメラがそこにありました。ここに映っているのは俳優であり、その人達とは違います。
ただ、ひとつ間違っていたら、そうなっていたかもしれない。
俳優という生きる糧に、正面から向かっていくそんな彼らを観て欲しいです。そこに生きようとすること。
人生を生き抜こうとすること。それは混じりっけなしの本物ですから。
監督の経歴
1975年千葉県館山市生まれ。多岐の職業、活動を経て、日本映画学校へ入学。
卒業後、フリーランスの助監督として多種多様の作品へ参加。
その傍らで、脚本執筆とアクターズリーグACT-JAMを主催。
2013年、劇場用映画「SPINNING KITE」が全国7館で公開され、松竹系にてオムニバス映画「埼玉家族<キャンディ>」を監督。2014年4月現在、追加上映が決定している。
スタッフ一覧
助監督:大谷 直也 |
出演者1:加藤 弘晃 |