the FAB3
THE FAB3
島崎 謙太郎
SHIMASAKI KENTAROU
上映時間 :73min
制作年 : 2015
自分で作った心の城。
その中で生きてきた 3 人の少年少女、ヒカリ、アユム、レイナ。
塀を巡らし、誰も入り込ませすず、自らも外には出ない、そこで完結した世界のはずだった。
だが彼らは、見えない糸で互いに引き寄せられ、絡まり、別の世界へと導かれていく。 挿入曲にイギリスの
「Sigurros」を加え、「子供の嘘」を少年少女の視点から描くチルドレン群像劇。
ヒカリ。10 歳少年。
生まれつき顔中に髭が生える病気「顔面多毛症」の持ち主。
生まれて間もなく両親に捨てられたヒカリは詐欺師、 リョウスケに拾われ、その容姿を使ってインチキ預言者の仕事をさせられる。
リョウスケに渡される資料を覚え、相談者に伝える毎日。
相談者は皆、ヒカリに涙ながらに感謝を述べた。
ヒカリにとって嘘を伝える事は救済であり自分の使命だと信じていた。
アユム。11 歳少女。
8 歳の頃、車の事故で両親を亡くし、精神的ショックで視力を失った。
両親を失ったアユムは叔父に預けられ、 二人きりの生活に。ほどなく視力を回復させたアユムだったが、そのことを誰にも伝えず盲目のふりを続けた。
何故ならその時見た世界は 以前の世界とは違うものに見えてしまったから。
アユムは全てを信じなくなった。
アユムはいつからか偽りの姿でしか生きられないようになっていた。
レイナ。13 歳少女。
透視能力を持つ少女として世間から騒がれメディアに露出している。
だが、幼少の頃から持っていた特殊な能力は 次第に弱くなってきていた。
能力が弱まったことを信じきれないレイナ。
回りからの期待とそれに応える事が出来ない自分。
葛藤の日々を過ごす。
レイナはトリックを使って透視を行い始める。
城の中にいた 3 人は見えない糸によって徐々に引き寄せられていく。
見えないふりをしていた少女が見えるようになり、見えるふりをしていた少年が見えないことを打ち明け、
見えると思い込まされていた少女は見えないことを悟る。
糸に導かれ、辿り着いた先にはあるのは・・・
監督のコメント
私は本作で「嘘」について描こうと考えた。
日本では子供が嘘をつくと「嘘をついていると、誰からも信じてもらえなくなるよ」と
親が子供に言い聞かせる。
これはイソップ童話のオオカミ少年の話が元になっている。
嘘をつくことは良くないこと、直さなければ
ならないこと。
でも、嘘をつかなければ進めない子供がいたとしたら。
嘘という塀で自分を守り、嘘によってしか自分の存在を
肯定することができない子供がいたとしたら。
おそらく彼らの顔は誰より真剣で、目は誰より力強いはずだ。
何故なら彼らには誰よりも強い意思があるから。
現実の世界にも溢れる心の叫びを塀の中に抑え、生きている子供たちはいる。
彼らは自らに決め事を作り、自ら実行する。
私はそんな彼らに、救いの手が差し伸べられるべきと考える。
そして、救いの手とは物理的なモノでなどではなく、彼らの生き方を肯定し未来を与える「何か」であるはずだ。
監督の経歴
昭和 54 年 アメリカ ノースキャロライナ生まれ。
金沢高等学校、大阪学院大学卒業。
2004 年からフリー助監督として映画現場に参加。
亀井亨監督 (マメシバ一郎)、SABU監督(トラブルマン)豊島圭介監督(殺しの女王蜂)、内田英治(グレイトフルデッド)に師事する。
スタッフ一覧
出演者 |
プロデューサー:竹重 英俊
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