セクスレス
SEXLESS
堀井 彩
HIKARU HORII
上映時間 :46.33min
制作年 : 2016
眞名水が、僕たちの家にやってきたのは、8月のとある日だった。
大学卒業後、眞名水は実家に戻ってしまい、その後は妻がたまに帰省する時にしか会っていなかったらしい。
妻は、どことなく眞名水のことを馬鹿にしていた。
馬鹿にするという言い方だと突き放した言い方になってしまうが、
ようは眞名水をそばに置くことで優越感を抱いていた。
一度、酔っぱらった妻から、眞名水が大学へ入学できたのは自分のおかげであると聞いたことがある。
眞名水はカンニングで試験に合格したというのだ。
嘘か誠かは不明だが、実際にこの日にあった眞名水の雰囲気は、それを納得させるには充分なものがあった。
眞名水は、2人目の夫からドメスティック・バイオレンスに合い、妻のもとへ逃げてきたのだという。
僕らの家へ来た眞名水は、妙に明るく、自分の今の境遇を笑い話のように話して聞かせた。
妻と話し合った結果、眞名水はしばらくの間、僕たちの家へ居候することとなった。
幸い娘は夏休みのため、長期間田舎の両親のところへ預けていたため、
ほとぼりが覚める数日間の間なら仕方ないだろうというのが、僕たちの出した結論だった。
監督のコメント
各人の主張が絡み合う恋愛ドラマが作れないかと思い製作しました。
ラストシーンは、役者側からの発案もあり、実際に飲酒しながらの一発撮りエチュードとなっています。役が現実と交錯する瞬間が撮れたのではないかと思います。
監督の経歴
8mm作品「忘れられない女」「東京女」で、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭に連続入選後、
「異形ノ恋」で劇場デビュー。一旦、活動を休止していたが2012年より活動再開。
近作は「ヒカリエイガ」(アップリンクほかで公開)、
「スターチャイルド」
(スペイン・マルベーリャ映画祭&アメリカ・シネロッコム映画祭長編部門コンペティション入選)、
「憂鬱な花」(日本芸術センター映像グランプリ受賞)、
「東京、吐息、自死」(CHOFU SHORT FILM COMPETITION奨励賞受賞)など。
スタッフ一覧
出演者 |
脚本:堀井彩 |