八十五年ぶりの帰還
アイヌ遺骨
杵臼コタンへ
HACHIJUGONENBURINOKIKAN AINUITOTSU KINEUSUKOTANHE
藤野知明
FUJINO TOMOAKI
上映時間 :24.00min
制作年 : 2017
1931年(昭6)、北海道大学医学部の研究者が浦河町、杵臼共同墓地からアイヌの遺骨を持ち去った。
医師が関わっているが、病気を治すためではなく、形質人類学の研究目的である。
アイヌが遺骨の持ち去りに同意した証拠はない。
こうして持ち去られたアイヌの遺骨は寄託分を含めると北大だけで1000体を超える。
全国12の大学に置かれている遺骨は全部で1600体を超える。
先祖の慰霊とは、過去と現在をつなぐ精神的な行為といえるが、
骨を持ち去られたアイヌの方々はその機会を奪われ続けてきた。
2012年(平24)、アイヌのエカシ(アイヌ語で年長の男性の尊称)、
小川隆吉さんとフチ(アイヌ語で年長の女性の尊称)、
城野口ユリさんが持ち去られた先祖の遺骨について話し合うため、北海道大学の総長に面会を求めたが、
大学はガードマンを配置し、面会を拒絶した。
その後、お二人は北大との話し合いはこれ以上出来ないと判断し、北大を提訴した。
アイヌとして生き、一度はコタンの地に眠った12人の祖先の遺骨を取りもどし、
新たにクワ(アイヌの伝統的な墓標)を立て、アイヌプリ(アイヌの伝統的な風習)で再び埋葬するまでを記録した
ドキュメンタリー。
監督のコメント
アイヌは日本の先住民であるが、権利は特に明治以降、侵害され続けてきている。
先祖供養さえ、当たり前にすることができない。
一見、研究者のモラルの問題に見えるが、
文科省所管の日本学術振興会で決定された研究であり、
国策といえる。
北海道内では多少報道され、この問題の存在が知られつつあるが、
道外では殆ど知られていないと思うので、是非とも福岡で上映し、
一人でも多くに人に知ってもらえればと思っています。
予告編
監督の経歴
1966年、札幌生まれ。
1997年、学生時代に制作した短編ドキュメンタリー『サハリンからの声』が
第12回ヒロシマ国際アマチュア映像祭で中国社長賞を受ける。
(サハリンの先住民、ウィルタ民族の戦争被害に関する内容)
1998年、日本映画学校映像科卒業。
以降、映画、テレビ、アニメ、ゲーム制作の会社で勤務。
2007年、NHKのBSドキュメンタリー『封印された映画』にインドネシアで撮影した
インタビュー映像を提供。
スタッフ一覧
出演者 |
撮影:藤野知明 浅野由美子 大井博一 |