鳴く音な添へそ
NAKUNENASOESO
久保裕章
KUBO HIROAKI
上映時間 :15.11min
制作年 : 2016
とある秋の放課後、受験生の梓(17)は、古典の補修を受けている。
教師の岩沢(28)は、源氏物語にある『おほかたの秋の別れも悲しきに 鳴く音な添へそ 野辺の松虫』という
別れの歌の解説を始め、「和歌の意味を知るには、実際に松虫の声を聞いてみよう」と
松虫の入った虫カゴを教室に持ってくる。
しかし、カゴの中、草に紛れて姿の見えない松虫は、待てど暮らせど鳴く気配がない。
二人でカゴを見つめながら時を過ごすうちに、岩沢に対する密かな恋心をかき乱されてゆく梓。
実は、彼女は成績優秀であるにも関わらず、岩沢と少しでも長く二人でいたいが為に、
わざと赤点をとって古典の補修を受けていたのだった…。
。
監督のコメント
5・7・5・7・7という限られた語数で豊かな感情世界を表現する和歌のように、
教室というワンシチュエーション、登場人物二人きり、という映画における最小限の設定を使って、
ニュアンスに富んだ心の揺らぎを表現してみたいと思いました。
監督の経歴
77年京都生まれ。東京育ち。
シナリオライター、構成作家としての活動の傍ら、有志と2013年Doctor Merrick Productionsを結成。メロドラマの上映、制作活動等を行う。
監督作『うつろう』で、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2015 オフシアターコンペティション部門、Skipシティ国際D-cinema映画祭長編コンペティション部門に入選。
他に上映活動として、2017年、渋谷シネマヴェーラとの共同企画『愛と哀しみの迷宮 メロドラマの深き谷を歩め」など。
スタッフ一覧
出演者 |
助監督:多賀悦二 |